がん検診といえば、市町村や会社で行うものに集団で参加するか、または病院などの医療機関を個別に訪れて行うというのが普通ですが、最近ではこうした従来の方法以外でも、手軽にがん検診が受けられる方法というものが整備されてきています。それは、自宅にいながらにしてがん検診と同様の検査が受けられるという血液検査キットの登場によるところが大きいといえます。このようなキットは、購入して自宅で指のさきからわずかな血液を採取して、これを指定医療機関に郵送するだけでよいという仕様になっています。血液のなかには、腫瘍マーカーという、がん細胞が体内で増殖していたときに生成される特有の物質が含まれていることがあります。
この腫瘍マーカーという物質の血液中での量や種類によって、がんのリスクを判断しようとするのが、検査キットの特徴であり、検査精度そのものは、医療機関で検査を受けるのとそれほど変わりはありません。ただし、一般に医療機関などに出向いて行うがん検診の検査というのは、このような血液中の腫瘍マーカーの検査だけではなく、さらに多岐にわたっています。例えばレントゲン検査やCT検査などとよばれているものが該当します。腫瘍マーカーの検査というのは、がんのリスクを把握するためのひとつの手段に過ぎず、もし異常がみつかった場合には、医療機関でのさらに詳しい検査によって、がんが発生している部位の特定などを行う必要があることだけは留意すべきでしょう。