がん検診は、「健康増進法」とよばれる法律の規定に基づく市町村や特別区の事業として実施されているもので、国では「がん対策推進基本計画」という計画書を作成して、その指導にあたっています。その結果として、国民のがん検診の受診率は、子宮頚がん、乳がんの各検診において上昇傾向がみられ、年代によっては4割を超える成果を収めているものもありますが、全年齢を平均してみると、いまだに2割台にとどまっていることから、さらなる普及促進が必要だとされています。このようにがん検診が普及しない理由としては、すべての対象者にあてた受診の勧奨を行っている自治体が、全体の半数程度にとどまっているということが挙げられています。また、がん検診は科学的根拠にもとづいて行われることが重要であり、仮にがん予防の効果がないものであれば、実施しても無意味ということになってしまいます。
ところが、市町村などが行うもののなかには、国の厚生労働省が推奨している検査とは異なり、科学的根拠にもとづかないものが多くみられるほか、実際にどのような早期発見の効果や誤診などの弊害があったかという精度管理が行われていないケースが多数あることも問題となっています。このようなことから、国では当面のがん検診受診率を5割にするよう目標を掲げるとともに、その受診率や制度管理などを定期的に把握するしくみづくりを全国的に進めて、さらに検診が実り多いものになるように努めています。