厚生労働省が推進している一般的ながん検診というのは、胃がんや肺がんであれば胸部または胃部のレントゲン検査、大腸がんであれば便潜血検査、乳がんであればマンモグラフィ検査などであり、それぞれの部位にあわせて、さまざまな検査を組み合わせなければならず、ひじょうに手間がかかります。また、これらのがん検診の検査の多くには放射線が使用されていることから、何度も受けてしまうと放射線による被曝でかえって健康を損ねてしまう可能性も捨て切れません。このようなことから、最近ではより簡便で弊害も少ないがん検診の検査方法が民間で開発されてきており、そのひとつとしてPET検査が挙げられます。PET検査は、日本語に訳せば陽電子放射断層撮影とよばれるもので、がん検診の新たな方法として、すでに実用化している病院などの医療機関もあります。
PET検査では、特別な検査薬を点滴で体内に注入しますので、この検査薬が血液を通じて体内をめぐり、がん細胞だけに目印が付けられます。がん細胞は、正常な細胞に比べて、その数倍のブドウ糖を取り込むという性質があり、目印というのはこの性質を応用したものとなります。PET検査では、これまでのエックス線検査では不十分であった、初期の小さながん細胞までもたちどころに見つけることができるようになるため、大きな期待が寄せられているところです。ただし、糖尿病をわずらっている人については、この方法ではがんを発見する精度が落ちるなどの問題があるため、他の方法も検討する必要があります。